第2回 読書会 「はじめてのジェンダー論」 

2020/3/15
第2回 読書会 はじめてのジェンダー論
加藤秀一著
4章
参加人数:4人

性自認と性的指向の基本知識
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性的な欲望の対象がどこに向かうかで、

異性愛、同性愛、両性愛と呼び分けられ、

《これらを合わせて性的指向(セクシュアル・オリエンテーション)と呼びます。》

同じ性にまつわることでも、

《ジェンダーが女と男の分類を指すのに対し、

セクシュアリティとはある種の欲望を表す概念です。》


と、本書では記述されていますが、ここについては、かなり議論の余地がありました。

まず、セクシュアルオリエンテーションには

上記3つ以外にも多様なもの

(例えばアセクシュアルやパンセクシュアル)が

あるはずなのに触れられていないという指摘がありました。

また、《ジェンダーが女と男の分類を指す》ということについては、

説明が雑すぎるのではないかという意見もありましたが、

ここまでの章でかなり紙幅をとって説明されている用語であるから

問題ないとする声もでました。

《セクシュアリティとはある種の欲望を表す概念》という説明は、

今回の読書会では、これは間違いなのではないかという結論に至りました。

というのも、WHOの定義を調べたところ、

The working definition of sexuality is:
“…a central aspect of being human throughout life encompasses sex, gender identities and roles, sexual orientation, eroticism, pleasure, intimacy and reproduction. Sexuality is experienced and expressed in thoughts, fantasies, desires, beliefs, attitudes, values, behaviours, practices, roles and relationships. While sexuality can include all of these dimensions, not all of them are always experienced or expressed. Sexuality is influenced by the interaction of biological, psychological, social, economic, political, cultural, legal, historical, religious and spiritual factors.” (WHO, 2006a)
とあり、欲望だけではなく性にまつわる様々な側面を

包括的に表す語であると言えそうなのです。


次の節では、「ソドミー」という罪と「同性愛」の関係が紹介されていましたした。
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19世期半ばまでは、同性間の肉体関係は、「ソドミー」という語で表されましたが、「同性愛」とは異なり、獣姦等のさまざまな逸脱的性行動を含んでいました。これはあくまで行動の名前、罪の名前です。対して「同性愛」という言葉は、心の内部に抱える病理的な欲望を表す概念として生まれました。そのような人たちをあたかも一つの種族のようにみなす「同性愛者」という概念も同時に生じた。ということです。

あるメンバーによると
→ミシェル・フーコーの『性の歴史』では、

近代国家が宗教を用いて性の統制を行ったと述べられているらしい。

教会で、同性愛の告白を行わせることで把握し、

それを病気として扱ってきたと。


罪だったものを、

病気ととらえるようになった理由はなんなのでしょうか?

まだ、近代国家や宗教との関係は?

この本には書いてありませんでしたが、興味深いところです。



メンバーの読んでいた、

『教養のためのセクシュアリティ・スタディーズ』

の内容を参考にして、

「資本主義がこの変化をもたらしたのではないか。」という意見が出ました。

農村社会のような場では、

生産(労働)と再生産(出産や子育て)が

1つのコミュニティの中で行われていたため、

同性愛は、そのコミュニティの利益にならない、

あるいは秩序を乱す、ということで

「ソドミー」(罪)と名付けられたのではないか。

対して、資本主義社会では、

賃労働が主流になる中で、

生産(労働)が家庭と切り離されたために

「性」がコミュニティのためのものではなく、

個人的なものへと変化をした。

そのため、同性愛的個人生活を作り上げることが可能になり、

「同性愛」「同性愛者」という言葉が誕生したのではないか。

というものです。




この章では性的指向について

「同性愛」「異性愛」等の言葉を使っているけれど、

これには弱点がある。という指摘があり、ハッとしました。

これらは、性自認をベースとして分類しているので、

例えばXジェンダーの方が女性を好きでも男性を好きでも、

それを分類しきれないのです。




今回は、学術的に話が広がって、時間が足りないくらい盛り上がりました。


(C.N)




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