第5回 読書会 「はじめてのジェンダー論」

2020/03/30
第5回 読書会 「はじめてのジェンダー論」
加藤秀一著

11章~13章


11章 女性差別は終わった?


レディースデイ、女性専用車両などに反発が起こるのは、「アファーマティブ・アクション」(弱者集団の不利な現状を、歴史的経緯や社会環境に鑑みた上で是正するための改善措置のこと。by Wikipedia)という考え方が浸透していないことが原因の一つなのではないかという説が出ました。


女性vs男性などでいがみ合いをするのではなく、全体で、全体の苦しみを減らすことを目指していきたいところです。


さらに今回は

資本主義社会そのものの持つ特性、問題にも話題が及びました。


この社会では企業は利益を生むのが最大の目的なので、

労働力にかかるコスト(給料、休み)は必然的に最小限に抑えられる。

その中で、男女の賃金格差が生じるのは、

社会(生産活動、賃労働の場)と、

再生産(妊娠、出産、子育て等)が切り離されたために、

再生産に価値が付かなくなったことが要因である。


つまり、農村社会では

再生産には労働力の育成としての価値があったが、

資本主義社会では再生産に価値がつかないため給料は払われず、

再生産活動のための休みなども原理的に取りづらい。


こうした構造が、

男女の賃金格差を生み出している要因の一つなのではないかと予想をしました。

だからこそ、構造、制度からこれを是正していく必要があると思います。


更に、ヨーロッパではスキルに応じて賃金が決定されるのに対して、

日本では仕事の結果よりもパーソナリティが重視され、

厳しい労働に耐えられるかが判断基準にされる傾向がある。

ヨーロッパの形に近づけること、そもそもの最低賃金を上げることが必要だという結論になりました。



12章では、性別役割分業や、ホモソーシャル、マタハラなどについて包括的に触れられています。


「女性の社会進出」という言葉を最近よく耳にしますが、

ここでいう「社会」とは、何を指しているのでしょうか。

「社会人」「社会を知らない」

という言葉に表れるような、

「賃労働の場」という意味の様です。


しかし、実際に調べると女性の労働力化率が最も低い(=専業主婦率が高い)のは

1970年台。「社会」にはおらずとも、様々な労働をしていた、ということに驚きました。




(C.N)






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